審査では、作品の構造と安全面についてのプレゼンテーションを行い、続いて質疑応答がありました。
建築的な部分は南川先生に補足していただきながら、高橋君が代表でがんばって話してくれました。
私たちの意志と意図と配慮が伝わっていることを祈ります。
後日審査結果が通知されるとのことで、それまでは心配ですが、ひとまずお疲れ様でした。
記録/北浦
このような感じになりそうです。
クリア(歪みのない)ガラスブロックは中身がよく見えますが、
たまゆら(歪みあり)の方はゆらゆらに歪んでとてもおもしろい見え方になります。
思ったよりも中のオブジェが何なのか確認することもできました。
みんなで話し合った結果、クリアを使わずに、すべてたまゆらで組み上げる事に決定しました。
二次審査の提出書類が12月4日必着ということで、今日は先生に僕らが作った書類・図面等の最終チェックをしていただきました。
記録: 高橋
このチームには、リーダーがはっきりと決められていない。指示する人がいないため、事が進んでいかない。誰が指揮をとるかをはっきりさせよう。
◆中に入れるオブジェに関して
①設置方法
・先にガラスブロックで箱を作り、上から入れていく以外方法はない。上から吊るすという設置する案が出ているが、厳しい。 何より、搬入が難しい。
オブジェをそのまま入れるだけというのは、非常に危険。表面に何か施すと提供してくれた方に悪いというのは、気を遣いすぎている。
企画広報課の鳥居さんを通して、街や商店街のことを知る。…昭和の博物館(北名古屋市)
収集するオブジェは、まず、市長にひとつもらえるようお願いしてみるのはどうか。この事が作品の地となり肉となるものである。地域と行政と大学が、お互いに開いていくことが大切である。
記録:小此木
環境とアート ゼミ記録 2009/06/30
岡崎市(愛知県)にて森林問題に関するレクチャーと市内額田町の森林見学
ゲスト 小原淳氏 (小原木材株式会社 社長)
八田欣也氏 (岡崎製材株式会社 社長)
手島俊彦氏 (西三河農林水産事務所 林務課)
樋口奈央氏 (岡崎森林組合)
清水龍生氏 (山林所有者)
国島征二氏 (アーティスト、岡崎市在住)
鈴木正義氏 (Masayoshi Suzuki Gallery 代表)
教員 土屋公雄、南川裕輝
参加者 北浦、松野、岸、高橋、壬生、岩佐、米倉
13:00~ レクチャー
16:00~ 額田の森見学
今から約1000年前、ギリシャのパルテノン神殿の辺り一帯は緑地であった。現存する神殿より以前のものは木材でできていた。文明は肥沃な土地に生まれる。ギリシャにおいても、緑があったがゆえに人が住み、生活を営んでいた。しかし植樹を行わなかったために、森は枯れ、やがて文明は退化した。森は生命の根源である。
今21世紀に生きる人間に与えられた課題として環境問題がある。
20世紀末から叫ばれてきた環境問題だが、この20年に築かれてきた環境主導は経済であった。産業公害、廃棄物処理、大気汚染などから食の安全性に至る大きな問題は、経済優先社会における産物であり、このことは対処療法的な観点で対応されてきた。
そこで未来を見据えた本質的な環境対策の軸となるのが「文化」であると考える。
「文化のまちおかざき 宣言書」より
額田地区は人工の森と化した。(現在、愛知県一帯に育つ森林は、伊勢湾台風の後に一斉に植樹されたものである。)それは文明の進歩の中での変化であるが、今日われわれは、人の手の入った森を管理し続けるか、放置して何百年後の自然回帰を待つか、決断の時期に来ている。人工林は放置したままにすると災害に弱く、豊かな表土を失い、やがて食物の育たない山と化する。まさに額田の山は放置されだし、一行も早く市民の決断を必要としている。そしてこのことは日本全土が抱える問題なのである。
「文化のまちおかざき 宣言書」より
平成18年、額田町は岡崎市と合併した。自然豊かな土地柄で御影石の産地でもあり、採石場などもある。(岡崎市の面積 38,724ha 内、森林面積 23,325ha)
近年、額田の森は目に見えて荒れ、病んできている。山から流れている水が汚染している。これは山が疲弊している証拠である。
12年前から森林問題を深刻に受け止め、活動のきっかけを起こそうとしてきた。
2009年「木持ちがいい会」を結成。気が好きな人が集まる。
額田の森の現状を見過ごしたくない。まず、現状を周知していくために何かできないか。
産業と環境のバランスを取っていかねばならない。そこで文化の力を使えないかと考えている。(“天使の森”構想)
岡崎森林組合の仕事としては、木材生産の他に、水土保全、レクリエーションなども行う。
日本の森林の約4割、市の森林の6割は人工林である。
人工の森林は手を入れ続けていかなければダメになってしまう。
森林は未来からの預かりものである。
山の中に入ると、管理されているかそうでないかが一目瞭然である。
・管理されている森は、木の間隔が適度であり、陽光が差し込んで明るい。
・管理されていない森は、木の間隔、太さ、高さが単一で、陽光が入り込まないため暗い。
植樹から伐採までのサイクルは、木をどの程度まで成長させるかにもよるが、岡崎の場合は1サイクルを100年程としている。
・植樹 180cm間隔で行う。
・下草刈り 約10年間、木の丈が下草よりも高くなるまで刈り続ける。
・間伐 木を太くしていくために間引きしていく。
森林組合は、森林所有者の代わりに伐採や製材を請け合っており、1日平均で70~80本の間伐を行っている。例えば4寸(約12cm)角の木材がとれる木は20~25年程育てないといけない。木材の一番の利用先は家の建材である。
間伐をしない→下草が生える→自然災害
間伐をする→木が育つ→CO2削減
○現在の林業が抱える問題
・木材価格がかけたコストに見合わない。
・森林所有者の意識の低下。
儲からない→山の仕事をしたくない→所有している山の境界が分からない
林業だけで自活していくためには100万㎡程が必要となるが、岡崎の場合、森林所有者の所有平均が1万㎡~5万㎡である。
・林業に従事する人がいない
高齢化
きけん、きつい、きたない、給料がやすい
木が使われない
○人工林において、管理がされないことによってこる問題。
同じ時期に植樹されているため、根の深さ、木の高さが単一になる。そのため、陽光が入り込まずに薄暗く、雨の当たる場所は上の方と地面に限られてくる。また、下草の手入れがされない。(自然林の場合、根の深さ、木の高さが散一で、雨や陽光はいろいろなところに当たる。)これらが土砂崩れや、製材面において良好な木が育たないといった事態を招くことになる。
人工林が放置され続けた場合、50年先に全てがはげ山になってしまうことはないだろう。 一切手を加えなければ、人口林もやがては原生林になる。
しかし、産業面から考えると原生林の木は製材しにくいという問題もある。
2008年から、愛知県は環境税を一人500円徴収しており、森林整備の補助にも充てられている。しかし本来は税金に頼るのではなく自活した林業のサイクルを作っていかなけらばならない。
○素敵な森をつくるためにみんなができること
林野庁「美しい森林づくり推進国民運動」より
自分の山の現状を再確認する。
森林の大切さを家族や知人に伝える。
日常生活で国産材製品を利用する。
森林とふれあう機会を増やす。
緑の募金などに協力する。
森林ボランティア活動に参加する。
職場ぐるみで森林づくりや国産材利用に協力する。
身近な緑化活動に参加する。
■「環境×アート 事例紹介」 土屋先生
○日本
・1986年頃 日本木材青壮年大会(?) 毎夏、各県で行われた。
木材を使用した会場のデザインなどをアーティストが行った。
・室生山上公園芸術の森 (奈良県宇陀郡室生町)
斜面地整備(地すべり対策)事業の一環として、池や水路等の整備にアートが取り入れられた。アーティスト ダニー・カラヴァン
○海外
・1978年~ イギリス北西部 レイクディストリクト グライスデール (4,600㎡)
荒れた森林の現状を周知、そして森を再生するために、ビル・クラント氏が中心となって、アート(音楽、美術)の導入が始まった。最初は演奏会に始まり、アウトドアミュージアムではなく森林散策の道しるべとしての作品を、アーティストが現地滞在により制作した。そこでは自然・人間・芸術が対等な立場であり、アートによって「森を訪れる楽しみ」をつくり、「森は傷ついている」ということ実感してもらうことがその目的であった。
このような形でのアートの導入は、例えば日本の限界集落の取り組みにも通ずるところがある。
室生山上公園芸術の森
http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/index.html
ダニー・カラヴァン
グライスデール
http://en.wikipedia.org/wiki/Grizedale_Forest#Sculpture_Trail
レクチャーの後、額田町の森林を見学しました。
森の中にある清水氏の小屋。
手作りの炭焼き窯と露天風呂がある。
清水氏にとって”森は庭のようなもの”。
どこにいても小川のせせらぎが聞こえます。
国島氏はニジマスにえさをあげていました。
(成長させてから釣るのか・・・・?)
樋口氏の解説によると、虫に食われて病気持ちの木もあるらしい。
最後に国島氏のお宅を訪問。
山の中にあるとっても素敵なおうちです。
家の中を石壁が突き抜けている!
水は井戸水で、すごくおいしいそうです。
記録/北浦
環境とアート ゼミ記録 2009/06/23
参加者:岩佐、小此木、米倉、高橋、壬生、松野、北浦、岸
晴れて北名古屋市のモニュメント公募に入選しました!
まず今日のゼミは北名古屋市の公募入選の報告会から始まりました。
■実現化にむけて・・・数々の問題点が浮かび上がってきました。
①現地制作ができるのか
・北名古屋市側は従来の置き彫刻を想定しているようなので、作品をつくるプロセスが他の作品とは違うことを説明しなければならない。
・また2次審査というのが12月上旬に予定されており、その時に作品がちゃんとつくられているか確認があります。現地制作しなければつくれないので、この時点では、詳しい図面しか出せないのではないか。
②ガラスブロックの中に入れる思い出の品々の集め方
・市の広報などで呼びかけるつもりだが、もしも出来ないとなったときのために、集め方を何パターンも考えておいたほうがいい。また集める品もかなり制限しなければならない。
③照明の問題
・北名古屋市側はランニングコストはかけれないという話なので、照明は使えないようだ。しかしブラックライトで照らせないとなると、最初のコンセプトから変わってくるのも事実である。それでも作品として成立させなければならないのだが・・・なんとかしてブラックライトを使用できるようにはならないのか。
そのために・・・↓ ↓ ↓
○1年でどれくらいの消費電力がかかるのか。
○動力電源を私たちで引いたらどれくらいかかるのか。
この2点を事前に調べて交渉してみよう!
■このように多くの問題点はありますが、チームみんなでひとつひとつクリアーしていき協力して作品をつくり上げていきましょう!!
余談になりますが・・・・今日6月23日はイギリスでは一番長い日らしいです。フェアリーリングと言いイギリス中から妖精たちが集まって、昨日から今日にかけて踊りを踊るみたいです。また、ストーンサークルや、ケルト民族の文化について土屋先生が熱弁。これからもイギリスの話や色んな話を聞かせてください。
■次回のゼミ
6/30 愛知県岡崎市へ。
額田町の森林問題について、動向リサーチ。
各自、森林問題を下調べしておきましょう。
環境とアート ゼミ記録 2009/06/16
参加者:岩佐、小此木、米倉、高橋、岸、松野、北浦
自分たちのつくる作品が社会とどのように関わっていくのか、ということについて考えられたか?
起案からプレゼンまでのプロセスに気を配ることができた。
今までの個人では考えられないようなプロセスであり、その上で出てきたものとなった。
「記憶の声」については、地域の人と関わることを重要視した。
先日の北川フラム氏の講義にもあったファーレ立川などと比較すると、この景観計画には全体に流れる大きな意志のようなものが掴みにくいように感じた。プロデューサーがいないように思われた。
例えば、ある場所に10点の作品を設置するとして、それを一人の作家が計画すれば景観の統一感は出てくるだろう。しかしこのコンペ自体はそのような趣旨ではないと思われる。
■まとめ
日本では、時には通りの交通を妨げるようにして置かれている作品もあるが、 普通は都市計画の一環としてアートの提案を行う。
例:アーティストの考えるサイン計画・・・ものを置くことだけがアートではない。
作品をつくるということだけでなく、プレゼンテーションを行うことで、他者を意識せざるを得なくなる。
そういった姿勢を個人の作品においても取り入れてほしい。
■連絡事項
次回ゼミ
6/23,30のどちらかで、岡崎市(愛知県)へ。
内容:額田町の森林環境問題について、動向のリサーチ。
各自、森林環境問題について下調べしておくこと。
チームメンバー: 北浦智恵 小此木梢美 米倉竜英 壬生真代
○コンセプト
「座れない椅子」は、均整の取れていない造形によって、まるで意志を持つ生き物のようだ。 本来、人が座る目的で生み出されるこの人工物が、おどけた姿で巨大化し、私たちの前に現れる。 その傍らでは、植物が椅子の座面を突き抜けて成長し、のびのびと花を咲かせる。植物には、芽吹き、 育ち、花を咲かせ、やがては枯れるという生命の事実、そして時に人工物を凌駕する脅威がある。 「座れない椅子」は、ともすれば忘れがちな生命のダイナミズムを私たちに教えてくれる。
素材: 鉄
サイズ: W1000×H2000×D800 /mm
デッサン
模型
展開図
イメージ図
○色の提案
設置現場が施工中ということもあり、椅子の色は現場に相応しい色を選ぶこととし、幾つかの提案をする。
メンバー:岸美智代 高橋健太朗 岩佐美帆 松野実香
北名古屋市に応募した2つ目の案です
コンセプト
この地域に住む人々の協力を得て個人との関わりを持つ物を集め、ガラスブロックを積み上げた巨大な箱(立方体)の中へ再構成して組み込む。夜それは輝きを得て街に彩りを放ちはじめ、人と人とを結び付ける役割を持つオブジェへと生まれ変わる。また、提供したという行為を共有することで街の人々が新たなコミュニケーションのきっかけを持ち、やがてそれが大きな一体感として街全体を包み込む。最も重要な事は、住民と物と提案者とが三位一体となって初めて成立する作品である事。そして人と人との関わり合いの中で、心の豊かさを得ることこそが日々の生活を送る上での活力・癒しと成りうるのだと見出す事である。
模型
完成イメージ図
図面
素材:ガラスブロック・地域の人々から集めた品・ライト
サイズ:W1000×H2000×D700/mm
設置イメージ図
結果は6月21日に発表です
よい結果がでてくれることを期待しています