2009年7月30日木曜日

藤井匡氏との話し合い。

環境とアート ゼミ記録 2009/07/30
参加者:岩佐、小此木、米倉、高橋、岸、松野、北浦  

北名古屋市モニュメント事業アドバイザー/藤井匡氏がゲストとしてゼミに参加して下さいました。




●照明の問題
市からは自家発電の方法で電力をまかなってほしいとの意見がある。こちらの意向としては、電力はどこかからひき、LEDブラックライトを使用して、一日五時間点灯したい。電力のランニングコストも、トイレの裸電球一つ分程度である。(月に百円程度+基本料金…計算上2万時間、期間にすると15-20年使用できる。)

このことに関して藤井さんの意見。施工のときは、間に行政を入れず直接こちらから中部電力に頼むこと。施工費もこちらで払う。

問題なのはやはりランニングコスト。街灯の費用は商店街の人たちが負担している。あわよくばという話だが、この作品の照明も、街灯の一部として扱ってもらい費用まかなってもらう事はできないだろうか。街灯として扱ってもらえるかどうかは、電力会社も通した上で、商店街の人との話し合いしだいである。なので、中に入れるオブジェ(市の人々の思い入れのあるもの)を集める際のコミュニケーションを、商店街の人々を中心にとっていくことが鍵になる。

コスト以外には、LEDライトとオブジェのつめ方について。ライトはふたの面だけでなく、下面にも入れた方が効果があるのでは?縦に長いライトを入れるという案も出た。(ただブラックライトは高い。)また蓄光塗料の効果はどれほどのものだろうか。性質上、真っ暗闇の中で効果を発揮するが、駅前ということもあるので夜でも完全の闇は望めなそうだ。実際にどれくらいのかたまりとしての発光体になるのか。
暗くなったときに発光するという話をしているが、昼間にもしっかりと見える作品にならないといけない。他の作品のライトアップはない。人にお金を出してもらってまでやることなので、そこまでの意思と覚悟が必要。


●ガラスブロックの外径
幅のサイズ・・・800mmまでだったものが700までに後から変更されたが、その理由が提示されていない。ガラスブロックを組んだときに、800規定ならば780のものが作れるが、700規定になると590の幅になってしまう。出来るなら780でいきたいので、8cmのサイズオーバーをOKとしてもらえないだろうか。


●天井
上が透明なほうが昼間に光が入って明るい。水勾配は道路側につけて欲しい、と藤井さんからの意見。


●設置
現場での組み立て、設置が必須である。


●スケジュール
現場を作るのと平行してスケジュールを組んでいかなければならない。3月頭ごろに設置の予定。


●ガラスブロックの結露
結露についてはできるだけ対応してほしいと藤井さんの意見。隙間を空けて空気を流すとしたら、どの程度の穴が必要か。ただ穴があると砂や虫が入ってしまうかもしれない。また、使用するガラスブロックの種類によっては、結露をごまかせるかもしれない。ガラスブロックのサンプルを集める時にその事も検討してみる。ライトを使用するかどうかが決まり、全体の使用が決定したら検討していかなければならない。


●耐震
どれくらいの強度があるのか。


●オブジェの収集
オブジェの収集が、この取り組みのメインになる。”広報で集める”というだけで、何がしたいのかさっぱり分からない。一般の人に思い出の品を出してください、といっても分からないだろう。中に何を入れるかで、作品の質(性格)が決まる。そこに北名古屋市のオリジナリティがあるのか?
中に入るものの性質を特色づけるべきでは?中身のコンセプトはないのか?
ex.
 ・昔から住んでいるお年寄りの持ち物
 ・幼稚園の子供(将来はばたいていく子ら)
 ・人形(地域の産業)
    …どのようにして北名古屋市に関わっていくのか。

”広報で集めます”というのは上から目線すぎる。

企画広報課の鳥居さんを通して、街や商店街のことを知る。…昭和の博物館(北名古屋市)


収集するオブジェは、まず、市長にひとつもらえるようお願いしてみるのはどうか。この事が作品の地となり肉となるものである。地域と行政と大学が、お互いに開いていくことが大切である。

記録:小此木

2009年7月14日火曜日

「記憶の声」 打ち合わせ

環境とアート ゼミ記録 2009/07/14
参加者:北浦、松野、岸、高橋、壬生、岩佐、小此木、米倉

記録:壬生


今日は、7月29日の藤井さんとの話し合いについてや、ガラスブロックの配置の確認、中に入れるオブジェの収集方法などについて話し合いました。

■7月29日に藤井さんと話し合うこと

①電気の使用について
・LEDのブラックライトで照らすことを許可してもらえないかをもう一度聞いてみる。
②ガラスブロックについて
今の段階での外壁の大きさ 幅   : 990mm
                  奥行き: 590mm
                  高さ  : 1990mm
・奥行きの大きさについて
規定の700mmを少しだけでも超えてもよいことにしてもえないかを相談する。
北名古屋市からは、奥行きは700ミリまでと言われているが、
今の広さでは内部にオブジェを入れるにはあまりにも狭い。
③天井について
・ガラスブロックにするか、鉄板にするか 
④中のオブジェについて
・収集するためのチラシを作成し、8月の広報にはさませてもらう。   

■オブジェの収集方法案
岩佐、壬生、米倉の三人で話し合った案を、他のメンバーに見てもらいました。
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案①西春に住む人の家に直接訪ねる
お宅へ訪問する前に、広報でモニュメント「記憶の声」についての宣伝をすると
ともに、中に入れるオブジェについてのアンケート用紙を作成し、5つの方法で
回収する。
(1)広報について
記載内容  
・「北名古屋市のモニュメント」についての説明
・「記憶の声」のコンセプト説明
・「○月○日の△時~□時に伺うことがあります」とことわりを入れる
・欲しいオブジェについての情報(集めたもののリスト、大きさ、、、など)
→反応のあったお宅へ訪問

(2)アンケートについて
○アンケート内容
・「記憶の声」のコンセプトを説明し、「思い入れのあるもの」で今回のモニュメン
トに入れてもいい、もしくは入れたいと思うものは何かを問う。
・住所・連絡先・名前
・「思い入れのあるもの」の絵や写真
○アンケートをとる流れ

①アンケートを取る
方法1  直接訪問
      対象:西春駅前の道路沿いのお店やそこに住む人
方法2  西春役場で掲示
      対象:道路沿い以外に住む人
方法3  回覧板でまわす
方法4  新聞にはさむ
方法5  市報にはさむ

②アンケート回収
役場や道路沿いのお店にアンケートボックスを設置し、そこへ入れてもらう。

③オブジェを選択
集まったアンケート用紙の中から、「記憶の声」に合うものを選び、選んだお宅へ
連絡し、訪問する。

案②西春の人に指定の場所へ直接持ってきてもらう
広報に載せ宣伝し、指定した日時に決められた場所へ持ってきてもらう。

記載内容
・「記憶の声」のコンセプトについて説明し、「思い入れのあるもの」のあるものを
めていること
・ものによっては断ることがあること
・使わなかった場合について
・「思い入れのあるもの」の条件
大きさ、 生もの・壊れやすいものは不可
・集めたものリスト
・収集場所と日時
・数がいること

案③西春で行われるバザーなどに行き、選んで買う


①~③の問題点
①の(1)・・・電話を受ける係りがいる   
→役場の人に頼めないか
→自分たちで電話を受けるか
①の(2)・・・書いてくれるか?
     ・・・アンケート用紙の収集が大変
     ・・・アンケート用紙を直接配る場合、家に入れてくれる
       か?
②    ・・・来てくれるか?
     ・・・数が多くなった場合は?
     ・・・集める場所として、西春の役場等を使わせてくれる
       か?
     ・・・使わないものの処置をどうするか?
       →捨ててもいい・・・大学で処理する
       →返却希望・・・着払い・直接持っていく・取りに来て
        もらう、、、など
       →もしくは、はじめから返却不可能とする
③    ・・・もしかしたら、西春の人のものじゃないかもしれない
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この3案を見てもらい話し合った結果、

一度、①の(2)のアンケートとモニュメントについてのチラシを作成し、広報に
はさむことは可能かを藤井さんに相談することになりました。
(8月中旬にはさむことを目標に印刷)

・アンケート用紙に、問い合わせ・連絡先を書いておく。
・回収ボックスの設置場所について
 駅、役場、道路沿いのお店、スーパー、福祉センター、名鉄百貨店パレ、
 図書館、、、など
 およそ10箇所を検討する。
・回収ボックスについて
 鍵つきのものにするか、ダンボールなどで作るか。

西春でバザーはやっているかは、講師の青山さんに聞こうと思います。


次回の会議は、7月28日の火曜日、13:00~です。

2009年7月2日木曜日

岡崎市額田町へ

環境とアート ゼミ記録 2009/06/30


岡崎市(愛知県)にて森林問題に関するレクチャーと市内額田町の森林見学



ゲスト  小原淳氏   (小原木材株式会社 社長)

      八田欣也氏 (岡崎製材株式会社 社長)

      手島俊彦氏 (西三河農林水産事務所 林務課)    

      樋口奈央氏 (岡崎森林組合)

      清水龍生氏 (山林所有者)

      国島征二氏 (アーティスト、岡崎市在住)

        鈴木正義氏 (Masayoshi Suzuki Gallery 代表)

教員   土屋公雄、南川裕輝

参加者  北浦、松野、岸、高橋、壬生、岩佐、米倉    

1300~ レクチャー 

1600~ 額田の森見学




■「森は生命の根源である」   小原氏

今から約1000年前、ギリシャのパルテノン神殿の辺り一帯は緑地であった。現存する神殿より以前のものは木材でできていた。文明は肥沃な土地に生まれる。ギリシャにおいても、緑があったがゆえに人が住み、生活を営んでいた。しかし植樹を行わなかったために、森は枯れ、やがて文明は退化した。森は生命の根源である。

21世紀に生きる人間に与えられた課題として環境問題がある。

20世紀末から叫ばれてきた環境問題だが、この20年に築かれてきた環境主導は経済であった。産業公害、廃棄物処理、大気汚染などから食の安全性に至る大きな問題は、経済優先社会における産物であり、このことは対処療法的な観点で対応されてきた。

そこで未来を見据えた本質的な環境対策の軸となるのが「文化」であると考える。

                      「文化のまちおかざき 宣言書」より


額田地区は人工の森と化した。(現在、愛知県一帯に育つ森林は、伊勢湾台風の後に一斉に植樹されたものである。)それは文明の進歩の中での変化であるが、今日われわれは、人の手の入った森を管理し続けるか、放置して何百年後の自然回帰を待つか、決断の時期に来ている。人工林は放置したままにすると災害に弱く、豊かな表土を失い、やがて食物の育たない山と化する。まさに額田の山は放置されだし、一行も早く市民の決断を必要としている。そしてこのことは日本全土が抱える問題なのである。

                       「文化のまちおかざき 宣言書」より


平成18年、額田町は岡崎市と合併した。自然豊かな土地柄で御影石の産地でもあり、採石場などもある。(岡崎市の面積 38,724ha 内、森林面積 23,325ha

近年、額田の森は目に見えて荒れ、病んできている。山から流れている水が汚染している。これは山が疲弊している証拠である。

12年前から森林問題を深刻に受け止め、活動のきっかけを起こそうとしてきた。

2009年「木持ちがいい会」を結成。気が好きな人が集まる。

額田の森の現状を見過ごしたくない。まず、現状を周知していくために何かできないか。

産業と環境のバランスを取っていかねばならない。そこで文化の力を使えないかと考えている。(天使の森構想)




■「林業について」   樋口氏 手島氏

 林業とは、森林に入り、主として樹木を伐採することにより、木材を生産する産業である。

 岡崎森林組合の仕事としては、木材生産の他に、水土保全、レクリエーションなども行う。

 

日本の森林の約4割、市の森林の6割は人工林である。

人工の森林は手を入れ続けていかなければダメになってしまう。

 森林は未来からの預かりものである。





山の中に入ると、管理されているかそうでないかが一目瞭然である。

 ・管理されている森は、木の間隔が適度であり、陽光が差し込んで明るい。

 ・管理されていない森は、木の間隔、太さ、高さが単一で、陽光が入り込まないため暗い。


植樹から伐採までのサイクルは、木をどの程度まで成長させるかにもよるが、岡崎の場合は1サイクルを100年程としている。

・植樹 180cm間隔で行う。

・下草刈り 約10年間、木の丈が下草よりも高くなるまで刈り続ける。

・間伐 木を太くしていくために間引きしていく。

森林組合は、森林所有者の代わりに伐採や製材を請け合っており、1日平均で7080本の間伐を行っている。例えば4寸(約12cm)角の木材がとれる木は2025年程育てないといけない。木材の一番の利用先は家の建材である。

間伐をしない→下草が生える→自然災害

間伐をする→木が育つ→CO2削減


現在の林業が抱える問題

 ・木材価格がかけたコストに見合わない。 

 ・森林所有者の意識の低下。 

儲からない→山の仕事をしたくない→所有している山の境界が分からない

林業だけで自活していくためには100万㎡程が必要となるが、岡崎の場合、森林所有者の所有平均が1万㎡~5万㎡である。

 ・林業に従事する人がいない

   高齢化 

きけん、きつい、きたない、給料がやすい

   木が使われない


人工林において、管理がされないことによってこる問題。

 同じ時期に植樹されているため、根の深さ、木の高さが単一になる。そのため、陽光が入り込まずに薄暗く、雨の当たる場所は上の方と地面に限られてくる。また、下草の手入れがされない。(自然林の場合、根の深さ、木の高さが散一で、雨や陽光はいろいろなところに当たる。)これらが土砂崩れや、製材面において良好な木が育たないといった事態を招くことになる。


 人工林が放置され続けた場合、50年先に全てがはげ山になってしまうことはないだろう。 一切手を加えなければ、人口林もやがては原生林になる。

しかし、産業面から考えると原生林の木は製材しにくいという問題もある。


 2008年から、愛知県は環境税を一人500円徴収しており、森林整備の補助にも充てられている。しかし本来は税金に頼るのではなく自活した林業のサイクルを作っていかなけらばならない。


素敵な森をつくるためにみんなができること 

                         林野庁「美しい森林づくり推進国民運動」より

 自分の山の現状を再確認する。

 森林の大切さを家族や知人に伝える。

 日常生活で国産材製品を利用する。

 森林とふれあう機会を増やす。

 緑の募金などに協力する。

 森林ボランティア活動に参加する。

 職場ぐるみで森林づくりや国産材利用に協力する。

 身近な緑化活動に参加する。

「環境×アート 事例紹介」  土屋先生


日本

1986年頃 日本木材青壮年大会(?) 毎夏、各県で行われた。

木材を使用した会場のデザインなどをアーティストが行った。

・室生山上公園芸術の森 (奈良県宇陀郡室生町)

斜面地整備(地すべり対策)事業の一環として、池や水路等の整備にアートが取り入れられた。アーティスト ダニー・カラヴァン


海外

1978年~ イギリス北西部 レイクディストリクト グライスデール (4,600㎡) 

荒れた森林の現状を周知、そして森を再生するために、ビル・クラント氏が中心となって、アート(音楽、美術)の導入が始まった。最初は演奏会に始まり、アウトドアミュージアムではなく森林散策の道しるべとしての作品を、アーティストが現地滞在により制作した。そこでは自然・人間・芸術が対等な立場であり、アートによって「森を訪れる楽しみ」をつくり、「森は傷ついている」ということ実感してもらうことがその目的であった。


このような形でのアートの導入は、例えば日本の限界集落の取り組みにも通ずるところがある。

室生山上公園芸術の森

http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/index.html



ダニー・カラヴァン

http://www.danikaravan.com/

グライスデール

http://en.wikipedia.org/wiki/Grizedale_Forest#Sculpture_Trail

レクチャーの後、額田町の森林を見学しました。





森の中にある清水氏の小屋。

手作りの炭焼き窯と露天風呂がある。

清水氏にとって”森は庭のようなもの”。














どこにいても小川のせせらぎが聞こえます。

国島氏はニジマスにえさをあげていました。

(成長させてから釣るのか・・・・?)


樋口氏の解説によると、虫に食われて病気持ちの木もあるらしい。











最後に国島氏のお宅を訪問。

山の中にあるとっても素敵なおうちです。

家の中を石壁が突き抜けている!

水は井戸水で、すごくおいしいそうです。

記録/北浦